飛耳鳥目 OBOGとペンの森

 もう師走だ。遅い夏休み(!)とか本社研修、人事異動とかで、地方勤務の若いOBOGたちが、神保町に顔を出す。そんな折は同じ期同士が連れ立ってくることもあり、大いににぎわう(コロナ禍なので予防には注意を払っています)。久しぶりなので、僕もうれしい。瀬下先生は「耳飛長目(ひじちょうもく)」と言っていた。松下村塾には弟子たちが江戸や京都など各地で見聞したことを書き留めるノートがあり、松陰はそれで居ながらにして各地の情報を知ったと。ペンの森もOBOGがもたらすみやげ話が、まさにそれなのだと。

 この松下村塾の「耳飛長目」ノートのことは、たまたま私が最近編集に携わった、一坂太郎さん著『坂本龍馬と高杉晋作 「幕末志士」の実像と虚像』(朝日新書)にも出てくる。こんど、その出版記念の一坂さん講演会を神保町の書店で開催するのだが。https://www.bookhousecafe.jp/event_calendar/

 フェイクニュースが飛び交う昨今だが、松陰は愛弟子が情報源だった。その意味では、「耳飛長目」ノートは「信頼できる情報源」だろう。

 

 さて、わがペンの森にもたらされる情報は、栄進は大いに喜ぶのだが、過重な勤務で体調を崩したとか、なんとかハラスメントで心が折れ休職したとか、よろしくない報告が直接、間接にある。気を揉む。あんなに元気はつらつだった子が、いまどうしているのだろうと、こっちも落ち込む。しかし悩みは溜めこまず、話せる人がいたら話すとよい。ペンの森がただマスコミ就活に役立つだけでなく、OBOGたちの、集いの場でありたい。また話しているうちに何か展望が開けることもある。ペンの森のネットワークは捨てたものではない。現役のペン森生もそんなOBOGからさまざまなことが学べるのだ。(岩田一平)