人生百年時代のマスコミ就活

 このところペンの森は4年生主体の25期と、3年生主体の26期が入り混じって通ってくる。「主体」としたのは既卒や社会人もいるからだ。25期はコロナ禍で採用選考の面接がリモートになったり日程が後ろ倒しになったり、どうなるかと思ったが、多くが新聞やNHK,通信社のマスコミや出版社に決まった。みんなよくがんばった。

 春採用が終わって夏になってから、「まだ一つも内定が取れないです」と青い顔をして駆け込んできた者も数人いたが、何人かは短期集中的にトレーニングし通信社や地方紙に決まった。しかし、あとの何人かは面接でいいところまでいって涙をのんだ。「留年して来年も第一志望の出版社を目指します」という者もいる。私立大学だとだいたい半期5万円を大学に納める。

 ことしいいところまでいったからといって来年はどうなるかわからない。仕切りなおしなのである。しかし、もう一年やるという、その心意気やよし!

 いまペンの森で作文の課題で出しているのは、「マッチング」「リモートワーク」「人生百年時代」である。この三題のなかから一つを選んで800字の作文を書くのである。

 ふと思い出すのは、当ペンの森創始者で初代塾頭、元毎日新聞記者の瀬下恵介師のつぎのことばである。就職が決まらない学生に「若い時の1年や2年は誤差の範囲。いくらでも取り戻せるよ」。まさにこれが「人生百年時代」である。きみらにはいくらでもチャンスがあるのである。悲観して落ち込んだままでいるか、チャンスを信じてがんばるか。

 

 とはいえ、来年に捲土重来を期すひとはそれなりの心構え、準備が大切だ。採用担当者は、就活留年した者が、この1年どう成長したかを見る。昨年と同じ程度では採らないのである。面接もまっさらの新卒より経験を積んだ分慣れていて当然だと見てくる。「わたしは去年のわたしとは違います」といえる新しい何かがほしい。誰かに会う、どこかに行く、何かを極める……。がんばれ。